日本中央競馬会事件と継続勤務

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同一使用人の下で、多数回に分けて、

期間の定めのある雇用契約を締結している労働者が、

年休の取得にあたり、

継続勤務の要件を満たしているといえるのでしょうか。

【事件の概要】


日本中央競馬会Yにおいて、Xは、各競馬開催毎に、

各競馬長の権限によって算定された必要人数に応じて採用され、

いわゆる期間の定めのある契約を締結していました(就業規則上は雇用期間が一競馬開催毎に限定され、次の競馬開催期間との間にYに在籍していない期間が存在していた)。

Xは、東京都内の投票所において、

各競馬場開催時である土、日曜日などに、

Yから勤務指定された日のうち少なくとも8割以上について、

勝馬投票券の販売及び払戻しの業務に従事してきました。

Xが年次有給休暇を取得した際に、

XY間で東京都内の競馬場が開催されない夏季期間には、

1か月以上雇用契約が締結されていないことを理由に、

Xの雇用形態が年休の成立要件である労働基準法39条1項の「一年間継続勤務」に該当しないとして、

欠勤扱いされ、賃金をカットされました。

そこで、Xは、カットされた未払賃金の支払を求めて争いました。

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【判決の概要】


法39条1項所定の「一年間継続勤務」とは、

雇用契約に基づき労働者が同一使用者の下で一年間被使用者たる地位を継続して保有することを意味するが、

同一使用人の下で多数回に分けて雇用契約が締結され、

当該雇用契約に基づき労働者が勤務しているような場合においては、

右の継続勤務か否かについては、

当該雇用契約の期間が形式的に継続しているか否かを判断するのではなく、

労働者の心身の疲労を回復させ、

労働力の維持培養を図るという年次有給休暇の制度趣旨を踏まえ、

勤務の実態、当該雇用契約の期間、各雇用契約毎に契約終了させて、

新たに雇用契約を締結する形態をとる理由、

雇用契約と次に締結される雇用契約との間隔、

雇用契約締結の際の採用手続及び有給休暇が付与されている他の労働者との均衡等を総合して、

雇用関係が継続しているか否かを実質的に判断すべきです。

原判決は、右の各事実を前提として、

Xにおいては、法39条1項の適用上、

少なくとも昭和56年以降平成3年4月14日まで実質的に労働者としての勤務関係が継続していると認められるとしたものであるが、

Xについては、夏季7、8月は東京及び中山競馬が開催されないため、

その間雇用契約が締結されていない場合が多いといっても、

福島、新潟競馬において稼働することにより右夏季の期間中でも雇用契約が締結される可能性があり、

また、各競馬場の開催日の年間スケジュールの組み方によっては、

Xより年間の勤務数が少ない者でも毎月就労すべき日が存する可能性があることになるのであるから、

夏季期間に一月以上雇用契約が締結されていない期間があるからといって、

本件各雇用契約が実態として同一性がないと判断することは相当ではなく、

前記認定の事実及び原判決掲記の証拠によれば、

YとX間において、昭和56年以降平成3年4月14日までの間実態として各雇用関係が同一性を維持して継続していたものとした原審の判断は正当として是認することができます。

【労働基準法39条(年次有給休暇)】


使用者は、その雇入れ日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

◯2 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄の掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

「六箇月経過日から起算した  「労働日」
       継続勤務年数」  

 一年             一労働日
 二年             二労働日
 三年             四労働日
 四年             六労働日
 五年             八労働日
 六年以上           十労働日

【関連判例】


「白石営林署事件と有給休暇」
「此花電報電話局事件と時季変更権」
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「日本電信電話事件と訓練(研修)期間中の年次有給休暇」
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