近藤化学工業事件と学歴詐称

(大阪地決平6.9.16)

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使用者が採用選考において、

学歴が重要な指標とされていなかった場合、

学歴を詐称した労働者は、

懲戒事由の「重要な経歴詐称」には該当するのでしょうか。

【事件の概要】


Xは、Yの採用選考において、中学卒の学歴を高校卒とを偽り、

採用されていました。

また、職歴及び家族構成についても詐称していました。

Xは、経歴の詐称や就業状況が著しく不良であったため、

Yは、Xを解雇しました。

そこで、Xは、解雇の無効を求めて争いました。

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【判決の概要】


ところで、(証拠略)によれば、Xが、右のとおり学歴を詐称したのは、

中学校卒業であることを恥じたためであることが疎明されるところ、

Yは、昭和60年3月以降は、高卒以上の学歴の者でなければ採用しない方針である旨主張します(〈証拠略〉にも、これに副う部分がある。)。

しかし、(証拠略)によれば、右の時点以降も、

高卒未満の学歴の者が採用されていることが疎明されるから、

Yにおいて真実この学歴要件を重視していることについては疑問があり、

この点は、少なくとも、就業規則55条3号所定の「重要な経歴」にあたるとすることはできません。

しかし、職歴については、A株式会社への入退社の事実をことさらに偽っているのは、

その心情は理解できないではないにせよ、

Yによる従業員の採用にあたって、その採否や適性の判断を誤らせるものであり、

使用者に対する著しい不信義に当たるものといわざるを得ません。

また、家族構成を偽り、扶養手当の支給を受けていたことは、

詐欺罪(刑法246条1項)にも該当する行為であり、

その不正には著しいものがあります。

したがって、Xが右1のように職歴及び家族構成を偽ったことは、

就業規則55条3号所定の「重要な経歴を偽り、その他不正な方法を用いて採用されたとき。」にあたるものというべきです。

【関連判例】


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