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労働者が、自己又は競業会社の利益を図る目的で、
競業会社に有利になるよう働きかけた行為は、
雇用契約上の債務不履行又は不法行為にあたるのでしょうか。
【事件の概要】
Xは、各種工業用及び家庭用電気機械器具の販売及び設置工事等を業とする株式会社です。
Yは、平成5年7月1日、Xに雇用され、
平成6年12月16日から同11年7月ころまで九州支社の責任者でした。
Yは、白社製品を他社に送付するように指示し、
受注予定であった売買の買主を同業他社に紹介するなどして、
会社に損害を与えたとして、同年8月6日懲戒解雇をされました。
Xは、Yに対し、雇用契約上の債務不履行、
又は不法行為に基づく損害賠償を請求しました。
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【判決の概要】
Yの各行為は、使用者の利益のために活動する義務がある被用者が、
自己又は競業会社の利益を図る目的で、
職務上知りえた使用者が顧客に提示した販売価格を競業会社に伝えるとともに、
競業会社を顧客に紹介したり、
競業会社が使用者の協力会社であるかのように装って競業会社に発注させたり、
上司に競業会社がより安い価格で顧客と契約する可能性があることを報告しなかった行為であるから、
雇傭契約上の忠実義務に違反する行為であるとともに、
Xの営業上の利益を侵害する違法な行為であるというべきです。
【関連判例】
→「茨石事件と労働者の損害賠償責任」
→「フレックスジャパン・アドバンテック事件と労働者の損害賠償責任」