東京航空会社派遣社員事件とセクハラの法的責任

(東京地判平15.8.26)

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派遣先企業でセクハラの被害を受けた場合、

派遣先企業に対しても、法的責任はあるのでしょうか。

【事件の概要】


Xは、平成14年3月大学を卒業後、

広告の企画・製作等を業とする会社に就職した女性です。

同社の協力会社がY1の社史編纂事業の一部を受託したため、

同社は社員であるXを同年4月1日から本件事業に従事させました。

職場の上司であるY2は、Xと職場で2人きりになった際、

また2人で食事をした際にセクシャルハラスメントにあたる言動を受け、

Xは不快と感じたが、Y2が上司であるため、

特に異議を申し立てることはしませんでした。

さらに、XとY2が同行したセミナーの終了後ワインバーで飲食した際、

Y2は、Xに対し、男性経験の有無を尋ね、

バーを出た後公園のベンチで隣に座らせ、Xの手を握り、

次に片方の手でXの肩を強く抱き寄せ、

もう片方の手でXの顔を押さえて唇や頬にキスしました。

その後、Xは、もはやY2がリーダーを務める本件事業に従事することは無理と考え、

翌日をもって辞めることとしました。

Xは、Y1及びY2に対して、損害賠償を求めて争いました。

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【判決の概要】


Y2は、Xが本件事業に従事していられるかどうかの決定権限を有する上司であったところ、

この地位に乗じて、若い独身女性であるXに対し、

性的嫌がらせと受け取れる発言をしてXに不快感を与え、

更にワインバーで飲食した際、

Xの男性経験の有無を問うなどXに不快感を抱かせる発言をしただけでなく、

公園で手を握ったり、肩を抱き寄せたり、

キスしたりするなど性的嫌がらせ行為をしたものです。

上記一連の行為は、Xの人格権を侵害するものであって、

不法行為を構成するものです。

また、上記の行為は、上司たる職務上の地位を利用して行われたものと認められるから、

Y1はY2の使用者として、Y2の不法行為について使用者責任を負うべきです。

【関連判例】


「金沢セクシュアルハラスメント事件とセクハラの定義」
「岡山セクハラ(リサイクルショップA社)事件とセクハラの法的責任」
「横浜セクハラ事件とセクハラの法的責任」
「広島セクハラ(生命保険会社)事件と過失相殺」
「福岡セクシュアル・ハラスメント事件と職場環境調整義務」
「千葉不動産会社事件と強制猥褻的行為のセクハラ」
「熊本セクハラ(教会・幼稚園)事件とセクハラ行為の反復継続」
「岡山セクハラ(労働者派遣会社)事件と性的関係を迫る行為」
「大阪セクハラ(歯材販売会社)事件と性的関係を迫る行為」
「京都セクハラ(呉服販売会社)事件と噂の流布・不当な発言」
「独立行政法人L事件と不穏当な発言(いわゆる下ネタ)」
「三重セクシュアル・ハラスメント(厚生農協連合会)事件と職場環境配慮義務」
「仙台セクハラ(自動車販売会社)事件と職場環境配慮義務」