岡山セクハラ(労働者派遣会社)事件と性的関係を迫る行為

(岡山地判平14.5.15)

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上司の立場を利用して、部下の女性従業員に、

直接に性的関係を迫る行為は、

違法なセクハラ行為と認められるのでしょうか。

【事件の概要】


Y3は、一般労働者派遣事業等を業とする株式会社です。

Y2は、その代表取締役、Y1は、専務取締役の地位にある男性です。

X1は、平成7年2月、営業担当社員としてY3に入社し、

平成11年3月に岡山支店の支店長に就任した女性であり、

X2は、平成8年8月にY3高松支店支店長として採用され、

平成10年7月からは徳島支店支店長を兼務する女性です。

X1は、Y1から上司としての立場を利用して異性関係を問いただされたり、

ほかの社員のいないところで、後継者の地位をちらつかせつつ、

肉体関係をもつように求められたり、

その後も接吻を迫るなどされていました。

さらに、X1がY1の行為について相談をしていたX2も、

Y1からX1と肉体的関係をもてるよう協力するよう要請されていました。

X1、X2は、これを拒否するとともに、他の従業員も含めて数名で、

Y2に対し、Y1の行為を訴えました。

そこで、役員会議が開かれ事情聴取が行われたものの、

Y1のセクハラ行為は確認できないとされ、

結局、X1及びX2、Y1に対して降格・減給(3割減)の処分が決定され、

それに基づきX1及びX2は支店長職を解任されて、

一般社員に降格となり月給も大幅に減額されました。

さらに、この処分の後、Y1は、X1、X2の風評を流すようになりました。

結局、X1、X2は、Y3を退職しました。

そこで、Xらは、Yらに対して、損害賠償等の支払を求めて争いました。

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【判決の概要】


前記1のとおり、Y1は、X1が平成11年3月14日に高知へ男性と行ったことや、

東京出張の際にAと会っていることなどから、

X1が自分以外の男性と付き合っているのではないかと考え、

上司としての立場を利用して、X1に対し、

X1の異性関係を問いただしたり、Aに対して電話をする等の行動に出、

さらには、同月18日に、高松支店から岡山本社に帰った後、

X1に電話をして呼び出し、他の社員のいない所で、

後継者の地位をちらつかせつつ、

X1に対してY1と肉体関係を持つよう求めたものです。

その上、X1が同月27日、Y1に対し、

同人が18日にとった言動の理由を尋ねると、これを謝罪するどころか、

X1は独身であるから性的欲求が解消されていないと思ったなどと答え、

もう感情を表に出さないから最後にキスをさせてくれと言ってX1に対して接吻を迫りました。

そして、X1がY1を拒否し、X1らがY3やY2に対して、

Y1のセクハラ行為を訴えるや、自己の保身のために、

セクハラ行為を否定し、他の社員に対し、

X1らは淫乱である等と繰り返し述べてXらと他の社員との関係を壊し、

X1の職場復帰を不可能にしました。

これらY1の行為は、上司としての立場を利用してX1と肉体関係を持つためになされたものであり、

X1がこれを拒否し、Y3やY2に対してセクハラ行為を訴えるや、

上司としての立場を利用してX1の風評を流し、職場環境を悪化させ、

X1の職場復帰を不可能ならしめたのであるから、

不法行為に当たります。〔中略〕

前記1のとおり、Y1は、X1と肉体関係を持つために、

同人と親しいX2に対して、上司としての立場を利用し、

平成11年3月18日に、車で迎えに来るように命じた上で、

車の中でX1と肉体関係を持てるように協力するよう要請し、

その後、X2がこれに加担することを拒否し、

Y3やY2に対してセクハラ行為を訴えるや、

上司としての立場を利用してX2の風評を流し、職場環境を悪化させ、

X2の職場復帰を不可能ならしめたのであるから、

不法行為に当たります。〔中略〕

Y1の上記行為は、Y3の内部で、

Y3の専務取締役としての立場を利用してなされたものであり、

Y2の上記行為は、

Y3で生じたセクハラ問題についての事情聴取中になされたものであるから業務の執行についてなされたものであることが明白であり、

Y3はこれらの行為について使用者責任を負います。

【関連判例】


「金沢セクシュアルハラスメント事件とセクハラの定義」
「岡山セクハラ(リサイクルショップA社)事件とセクハラの法的責任」
「東京航空会社派遣社員事件とセクハラの法的責任」
「横浜セクハラ事件とセクハラの法的責任」
「広島セクハラ(生命保険会社)事件と過失相殺」
「福岡セクシュアル・ハラスメント事件と職場環境調整義務」
「千葉不動産会社事件と強制猥褻的行為のセクハラ」
「熊本セクハラ(教会・幼稚園)事件とセクハラ行為の反復継続」
「大阪セクハラ(歯材販売会社)事件と性的関係を迫る行為」
「京都セクハラ(呉服販売会社)事件と噂の流布・不当な発言」
「独立行政法人L事件と不穏当な発言(いわゆる下ネタ)」
「三重セクシュアル・ハラスメント(厚生農協連合会)事件と職場環境配慮義務」
「仙台セクハラ(自動車販売会社)事件と職場環境配慮義務」