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女性従業員に対する軽率で不穏当な発言は、
違法性のあるセクハラと認められるのでしょうか。
【事件の概要】
独立行政法人Lに勤務するXは、異動希望先の課長であったYから、
食事の席で下ネタの話をされ、
それ以降3年近くにわたって不倫の誘いなどのセクハラを受け、
退職を余儀なくされたとして、
Yに対し、不法行為による損害賠償の支払いを求めて争いました。
第1審川崎簡裁(平16.4.21)は、セクハラ行為を認定するとともに、
セクハラ行為が継続しているとして消滅時効の完成も否定しました。
これに対して、Yの控訴を受けた第2審横浜地裁(平17.7.8)は、
Yの下ネタ話は女性に対する配慮を欠くものではあるが以前の多忙な生活状況を示す1つのエピソードであり、
同様の発言が繰り返されたとは認められないとして、
違法性及び損害の点において典型的なセクハラとは言えないとしました。
また「不倫しよう」発言についても、
その誘いを断ったため異動希望が叶わなかったとのXの主張は合理性を欠き、
その後もYと食事をしたり、
自からYに声をかけたりするXの行動はセクハラ被害者のものとは言えないこと等から、
セクハラ行為があったとは認められないとして、
1審判決を取り消しXの請求を棄却しました。
そこで、Xは、上告しました。
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【判決の概要】
平成10年秋から平成11年3月までの間及び平成12年7月から平成13年初夏ころまでの間のいずれにおいても、
Xが主張するようなセクハラ行為があったことを認めることはできない旨の原審の認定判断は、
原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、
その認定判断の過程において、
社会通念ないし経験則に反する点は認められません。
本件上告理由は、結局のところ、
原審の専権に属する証拠の取捨判断、
事実の認定を非難するに帰着するものであって、
採用することができません。
【関連判例】
→「金沢セクシュアルハラスメント事件とセクハラの定義」
→「岡山セクハラ(リサイクルショップA社)事件とセクハラの法的責任」
→「東京航空会社派遣社員事件とセクハラの法的責任」
→「横浜セクハラ事件とセクハラの法的責任」
→「広島セクハラ(生命保険会社)事件と過失相殺」
→「福岡セクシュアル・ハラスメント事件と職場環境調整義務」
→「千葉不動産会社事件と強制猥褻的行為のセクハラ」
→「熊本セクハラ(教会・幼稚園)事件とセクハラ行為の反復継続」
→「岡山セクハラ(労働者派遣会社)事件と性的関係を迫る行為」
→「大阪セクハラ(歯材販売会社)事件と性的関係を迫る行為」
→「京都セクハラ(呉服販売会社)事件と噂の流布・不当な発言」
→「三重セクシュアル・ハラスメント(厚生農協連合会)事件と職場環境配慮義務」
→「仙台セクハラ(自動車販売会社)事件と職場環境配慮義務」