森下仁丹事件と能力不足を理由とする解雇

(大阪地判平14.3.22)

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技能発達の見込みがないことを理由として労働者が解雇されたが、

当該解雇は有効なのでしょうか。

【事件の概要】


Yは、医療品等の製造・販売を営む株式会社です。

Xは、昭和44年4月Yに雇用され、Yの札幌支店等で就業し、

その後、平成12年からY本社マーケット開発部の職にありました。

この間、コンピューター入力等のミスが発覚し、

決済までに修正するよう命じられたものの、

これを放置し新たに別のミスを生じさせていたことなどから、

「技能発達の見込みがないと認めたとき」との解雇事由に該当するとして、

解雇されました。

そこで、Xは、本件解雇は解雇権の濫用により無効であると主張して、

Yに対し、雇用契約上の地位確認及び未払賃金の支払を求めて争いました。

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【判決の概要】


前記認定のとおり、平成8年度以降のXの成績は、

芳しくなく、主にC評価がつけられてきました。

そして、このCという、標準より劣るという評価も、

札幌支店での盗難事件や、栄光仁丹薬品での販売職としての業績不振、

また、同社業務課での大量の伝票処理ミスとそれによる誤った決算書の作成という結果などに鑑みれば、

不当な評価であったとまではいえません。

しかしながら、〔1〕Xは、リストラの対象とされた平成8年以前には、

概ねB、標準という評価を受けていたこと、

〔2〕平成8年4月以降平成11年3月までの栄光仁丹薬品での営業職としての勤務については、

Xの後任の者でも予算を達成できなかったことや同社の営業自体が不振であったことなどをも考慮すれば、

Xの成績不振を一概に非難はできないこと、

〔3〕平成11年10月以降の栄光仁丹薬品での業務課での業務は、

かつての札幌支店での業務では女性の部下がいたことと異なり、

コンピューターを使っての大量の伝票処理を1人でやるというものであり、

Xにとって慣れない業務であったことが容易に推認できること、

〔4〕Yでは、本社物流課での業務のように、

Xがミスなく業務を行なうことができる職種もあること、

〔5〕Yの就業規則では、人事考課の著しく悪い者等については、

降格ということも定められていることなどに鑑みれば、

未だXについて、Yの従業員としての適格性がなく、

解雇に値するほど「技能発達の見込みがない」とまではいえません。

また、Yは、Xの札幌支店での盗難事件や栄光仁丹薬品での経理ミスが、

「業務上やむをえないとき」という解雇理由に該当するとするが、

前者はすでに約6年ほど以前の事柄であるうえ、

それぞれ、顛末書、始末書等の作成を命ぜられていることや、

さらには、いずれの事由も通常考えられる「業務上やむをえないとき」の文理に合致するものではないことからすれば、

これらが前記解雇事由に該当するというYの主張は採用しえません。

よって、本件解雇は、Yの解雇権濫用であって、無効であるから、

Xの本件地位確認等の請求は理由があります。

【関連判例】


「セガ・エンタープライゼス事件と能力不足を理由とする解雇」
「日本オリーブ(解雇仮処分)事件と能力不足を理由とする解雇」
「三井リース事件と能力不足を理由とする解雇」
「フォード自動車事件と能力不足を理由とする解雇」
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