福田工業事件と傷病を理由とする解雇

(大阪地決平13.6.28)

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疾病により就労が長期間不可能な状態となった労働者が解雇されたが、

当該解雇は有効なのでしょうか。

【事件の概要】


Yは、プラスチック製品の製造販売を業とする株式会社です。

Yの従業員Xは、就業中に運搬中の段ボール箱が覆い被さって下腹部に当たり負傷し(第一次負傷)、

さらにその約3か月後には、ダンボール箱運搬作業中にパレットにつまずいて倒れ、

右肘打撲、両膝打撲、右前腕部打撲捻挫の負傷(第二次負傷)をしたため、

同日以降出勤しなくなったところ(第二次負傷については労災保険による休業手当及び療養費が支給されたが、第一次負傷については不支給処分とされている)、

Yから、業務内容を工場内、事務所での軽作業等とすること、

業務に適応しないときは解雇する旨を通知されました(その直前に鼡経ヘルニアの手術を受けている)。

しかし、Xは出社しなかったために解雇されたことから、

Xは、解雇は解雇権の濫用により無効であるとして、

雇用契約上の権利を有する地位の仮の確認及び未払賃金の仮払を申立てました。

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【判決の概要】


Xは、業務との関連が認められない疾病により、

平成9年6月16日以降Yでの就労が長期間不可能な状態となったのであり、

平成9年7月20日当時のXは、Yの就業規則27条1の「精神若しくは身体上の障害のため業務に耐えられないと認められるとき」に該当するといえ、

本件解雇については合理的な理由があるといえます。

加えて、Yは、平成8年10月22日以降、

平成9年6月2日にXに業務内容の変更を提示したり、

同月20日に復職要求をするまで約8か月間Xの欠勤要請を受け入れて来たりしていたこと、

他方平成9年6月2日の業務内容の変更の提示については、

Xもこれを一旦了承していたという本件解雇に至る経緯などを総合考慮すると、

本件解雇について社会通念上相当性を欠くものとはいえません。

以上によれば、本件解雇が、解雇権の濫用であるとのXの主張は認められません。

【関連判例】


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