日立製作所横浜工場事件と転籍

(最一小判昭48.4.12)

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転籍に関して、労働者の承諾があれば、

改めて転籍先の会社との間に労働契約を結ぶ必要はないのでしょうか。

【事件の概要】


Xは、昭和36年4月1日以来、Y会社の横浜工場の従業員でした。

昭和45年8月5日、Yは、Xに対して、

系列会社であるZ会社に、同月6日付けで転属させる意向を伝えました。

Xは同月11日にZで働くことを承諾しました。

しかし、同じ日に、ZはXに対して雇うことが出来ない旨の通知をし、

また、Yも、Xを同月5日付けで退職したものとして取扱い、

Xが横浜工場の従業員であることを否定しました。

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【判決の概要】


原審が労働者であるXの承諾があってはじめて右転属が効力を生ずるものとした判断は、

相当として是認することができます。

【原審の概要】
本件転属は、Xの承諾があって、

初めて効力を生ずるものというべく、

Xは、本件転属はZ会社がXを雇うことを条件とするY会社とXとの間の労働契約の合意解約である旨主張するけれども、

これを認めるに足る証拠なく、

本件転属がY会社のXとの間の労働契約上の地位の譲渡であり、

Y会社とZ会社との間の本件転属に関する合意が成立した以上、

Xがこれを承諾すれば、

Y会社のXとの間の労働契約上の地位は直ちにZ会社に移転するから、

XはY会社の従業員たる地位を失うと同時に、

当然Z会社の従業員たる地位を取得するものというべく、

その間に改めてZ会社との間に労働契約を結ぶ余地のないことは明白です。

Z会社で支障なく就労できることが本件転属承諾の要素となっていたことは明白であるところ、

XはZ会社で就労させてもらえるものと信じて本件転属を承諾したのに、

当時すでにZ会社ではその就労拒否を決定していたのであるから、

右承諾は要素に錯誤があり、無効といわざるを得ません。

【関連判例】


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