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期間を定めた労働契約を反覆更新してきた労働者が、
期間満了のみの理由で雇止めされたが、
当該雇止めは認められるのでしょうか。
【事件の概要】
Yは、オーストラリアに本店を置く外国航空会社です。
X1~X6ら6名は、シドニーでの教育訓練終了日から数えて5年を超さない期間を契約期間として、
日本ベース客室乗務員として雇用され、
期間満了により契約が失効するはずであったところ、
組合と会社の交渉の結果、
さらに5年間毎年契約更新をする旨の契約に同意していました。
また、X7~X12ら6名は、オーストラリアベースの正社員であったが、
日本ベースに移るにあたりYを退社して改めて日本ベースの契約社員として1年の雇用契約を締結し、
翌年以降について「勤務成績が良好でないことをすること」という要件に該当しない限り、
5年間については毎年契約更新する旨の合意がなされていました。
Xらは、期間満了によりそれぞれ雇用契約が終了したことを理由に雇止めされました。
そこで、Xらは、雇止めは解雇の法理の適用又は類推適用により無効であるとして、
労働契約上の地位確認及び未払い賃金の支払を求めて争いました。
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【判決の概要】
XらとYの契約は、雇用期間を1年間とし、
更新の期間を5年間と区切った、
期間の定めのある雇用契約であるというべきであるから、
期間の定めのない雇用契約であることを前提として、
本件雇止めについて、
解雇に関する法理が適用されるべきであるとするXらの主張は、
採用することができません。〔中略〕
期間の定めのある契約であっても、
期間の満了毎に当然更新を重ねて実質上期間の定めのない契約と異ならない状態にあり、
採用、雇止めの実態、仕事内容、
採用時及びその後における労働者に対する使用者の言動等により、
単に期間が満了したという理由だけでは使用者において雇止めを行わず、
労働者もまたこれを期待、信頼し、
そのような相互関係のもとに労働契約関係が存続・維持されてきたような事情がある場合には、
雇止めの効力を判断するに当たっては、
解雇に関する法理を類推し、
経済事情の変動により剰員を生じるなど使用者においてやむを得ない特段の事情がない限り、
期間満了を理由として雇止めをすることは信義則上許されないものと解するのが相当です(最高裁昭和49年7月22日第1小法廷判決・民集28巻5号927頁参照)。〔中略〕
前記のとおり、本件雇止めには、解雇に関する法理が類推され、
特段の事情がない限り、
期間が満了したということだけを理由として雇止めをすることは、
信義則上許されないものというべきです。〔中略〕
しかし、既に説示したとおり、
YのXらに対する雇止めが信義則上許されるための特段の事情の有無は、
当該雇止めの時点において判断すべきところ、
Yが本件雇止めをしたのは、
X12については平成10年4月18日、
その余の控訴人らについては平成9年11月20日であるから、
前記認定のこの時期におけるYの経営状況に照らせば、
Yについて、前記特段の事情があるものとは認められないというべきです。
以上のとおりであるから、
本件において前記特段の事情があるものとは認められず、
他に特段の事情の存在について主張立証がないので、
期間が満了したということだけで本件雇止めをすることは、
信義則上許されないものというべきであるから、
本件雇止めはその効力を生じないものというべきです。
【関連判例】
→「日立メディコ事件と有期契約の更新拒絶(雇止め)」
→「東芝柳町工場事件と有期労働契約の反復と雇止め」
→「龍神タクシー事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「丸島アクアシステム事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「ロイター・ジャパン事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「旭川大学事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「京都新聞COM事件と有期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「明石書店(製作部契約社員・仮処分)事件と有期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「近畿コカ・コーラボトリング事件と有期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「雪印ビジネスサービス事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「本田技研工業事件と有期雇用契約の更新拒否(雇止め)」
→「日本郵便(苫小牧支店時給制契約社員B)事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」