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期間の定めのある労働契約を複数回更新していた労働者が、
60歳以上の従業員を順次減少させる人事方針により雇止めされたが、
当該雇止めは認められるのでしょうか。
【事件の概要】
X1(パートタイマーとして期間の定めのない契約の下で15年勤務後、期間の定めのある契約を約し本件更新拒絶まで7回更新で当時67歳)及びX2(本件更新拒絶まで6回更新し当時68歳)は、
Yとの間で期間を1年とする雇用契約の更新を繰り返しながら清掃業務に従事してきました。
Yでは、約4年前から作業能率向上、
労災事故の減少を目的として60歳以上の従業員を順次減少させる方針を実施していました。
Xらは、右方針に基づいてYから契約更新しない旨の申入れがなされました。
しかし、Xらはこれを拒否し、X1ら所属の労組が団体交渉した結果、
1年に限り再更新されることになったものの(その後の更新については合意に至らなかった)、
右期間満了によりYはX1らを従業員として認めない対応をとりました。
そこで、Xらは、本件更新拒否は無効であるとして、
雇用契約上の地位の確認及び賃金支払を求めて争いました。
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【判決の概要】
右認定事実によれば、
1Xらの雇用契約がいずれも期間の定めのある雇用契約であることは明らかというべきです。
2Xらは、「Xらが期間満了後の雇用の継続を期待できることに合理性が認められる」旨主張します。
しかし、〔1〕前記認定のとおり、Xらの雇用契約がいずれも期間の定めのある雇用契約であり、その更新手続が形骸化していることはいえないこと、
〔2〕Yが、平成7年ころから、60歳以上の従業員を順次減少させる人事方針を採っていたことは明らかであり(右人事方針は、作業の能率を上げ、労災事故などを減少させるためのものであって、不合理なものとは認められない)、その政策が徐々に実施されていたこと、
〔3〕Yにおいて、Xらの雇用契約につき平成11年3月20日時点で一旦更新拒絶を決定したものの、一般労組との交渉の過程で円満解決のために、前記更新拒絶を撤回し、平成12年3月20日まで1年間の期間の定めのある雇用契約を締結し、その際、同月21日以降の雇用契約の更新はしない旨通告していることなどの事情にかんがみると、
Xらにとって、平成12年3月21日以降の雇用の継続を期待できる合理性があったとは到底認め難いというべきです。
3そうすると、Xらについて、解雇の(類推)法理の適用はなく、
平成12年3月20日をもって、雇用契約が終了したものというべきです。
【関連判例】
→「日立メディコ事件と有期契約の更新拒絶(雇止め)」
→「東芝柳町工場事件と有期労働契約の反復と雇止め」
→「龍神タクシー事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「丸島アクアシステム事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「ロイター・ジャパン事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「旭川大学事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「カンタス航空事件と有期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「京都新聞COM事件と有期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「明石書店(製作部契約社員・仮処分)事件と有期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「近畿コカ・コーラボトリング事件と有期労働契約の更新拒否(雇止め)」
→「本田技研工業事件と有期雇用契約の更新拒否(雇止め)」
→「日本郵便(苫小牧支店時給制契約社員B)事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)」