日本郵便(苫小牧支店時給制契約社員B)事件と短期労働契約の更新拒否(雇止め)

(札幌高判平26.3.13)

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短期の雇用契約を繰り返し更新してきた労働者が、

経営を改善するために人件費削減の必要があり、

そのため雇止めされたが、

当該雇止めは認められるのでしょうか。

【事件の概要】


Xは、Y(郵便事業株式会社、その後合併により日本郵便株式会社)に期間雇用社員として雇用され、

雇用期間を概ね6ヵ月として契約更新をこれまで8回繰り返してきました。

Xは、Yの経営改善の必要上、人件費削減のため、

平成23年9月30日の期間満了をもって雇止めされました。

そこで、Xは、雇止めは違法であるとして、

Yに対して、雇用契約上の権利を有する地位の確認、

未払い賃金の支払等を求めて争いました。

札幌地裁(平25.7.30)は、本件雇止めは権利の濫用であるとしたため、

Yが控訴しました。

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【判決の概要】


Yにおいては、平成23年度の時点で、

数年以内に債務超過に陥ることが予測され、

それを回避すべく経営を改善するためには、

人件費削減の必要性があり、苫小牧支店においても、

郵便課通常係の時給制契約社員の基本給与の削減に関し、

週110時間の削減を要し、その削減目標を達成するためには、

労働時間短縮に対する上記社員の意向によっては人員削減(雇止め)の必要性があったことが認められます。

Yは、本件雇止め以前に、

雇止め回避のための努力を尽くしていたものと認められます。

Yが、人件費削減のために、まず初めに希望退職者を募集し、

それに対する応募がなかったことから、

次の手段として労働時間の短縮による調整を図ったことは、

最終手段である雇止めを回避するためであったというべきであるから、

事前に労働時間の短縮に応じれば雇止めの対象から除外されるということが告知されていたか否かにかかわらず、

雇止めを回避するために労働時間の短縮に応じた者を優先的に雇止めの対象から除外したことが不合理であるということはできません。

諸手続を踏んだ上でされた本件雇止めに、

手続上特段不相当な点は認められません。

本件雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当でないとはいえないから、

許されるものであって、本件最終雇用契約は、

平成23年9月30日をもって終了したというべきです。

【関連判例】


「日立メディコ事件と有期契約の更新拒絶(雇止め)」
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